参考:厚生労働省
次亜塩素酸水とは、塩酸もしくは塩化ナトリウム水溶液(食塩水)を専用の生成装置で電気分解することによりつくられる殺菌料の一つ、次亜塩素酸、を主成分とした水溶液です。
多少の塩素臭を感じる場合もありますが、無色でほとんどにおいがなく、人体への安全性も高いことから、2002年6月より厚生労働省は次亜塩素酸水を食品添加物と定めています。
農薬や医薬品においては「殺菌剤」とし、分けて記載されます。
参考:Wikipedia
他にも食品添加物に指定されている殺菌料(後述します)はいくつかありますが、ノロウイルスの除去を筆頭にその有能さゆえに、今一番注目を浴びている殺菌料、更には「殺菌料」の枠を超え「殺菌剤」としても大きな期待がかけられている物質が、次亜塩素酸水なのです。
厚生労働省の捉え方
なお、次亜塩素酸水の食品添加物としての使用法として、「次亜塩素酸水は、最終食品の完成前に除去しなければならない」との基準が付随しています。
「安全・安心」、「口に入っても大丈夫」、「肌に触れても問題ない」、とのキャッチコピーをよく見かけます。これらはウソでも過大広告でもないのですが、厚生労働省はいわゆる『体内に入れるべきではない』事を謳っていますので、『食品添加物』という枠はイコール『食品』ではないということ、『積極的に体内に取り入れるべきではないもの』であることをよくご理解ください。
よって「殺菌剤」としての使用は、基本的には使用後水で洗い流すか拭き取ることとなります。
つまり、今の段階では『体内に入っても100%安全とは言い切れない』ことであると捉えておく方が良いでしょう。
次亜塩素酸水の種類
次亜塩素酸水には、以下の3種類が成分規格に定められています。
強酸性次亜塩素酸水、弱酸性次亜塩素酸水、微酸性次亜塩素酸水、です。
それぞれ製法が詳細に規定されているため、認可の下りた生成装置でのみ作られた水溶液が、これら名称を使用できることになります。
・強酸性次亜塩素酸水…pH2.7以下 有効塩素20~60mg/kgを含む。
・弱酸性次亜塩素酸水…pH2.7~5.0 有効塩素10~60mg/kgを含む。
・微酸性次亜塩素酸水…pH5.0~6.5 有効塩素10~80mg/kgを含む。
※pHはペーハーと読み、pH0~14の間で酸性かアルカリ性かを表します。
pH7.0(6.0~8.0)を中性とし、それより低いと酸性、高いとアルカリ性です。
また、塩素濃度はmg/kgもしくはppmで表示されます。
1mg/kg=1ppm です。
ppmはピー・ピー・エムやパーツ・パー・ミリオンと読み、100万分の一の意味です。
よって 1ppm=0.0001%、10000ppm=1% ということになります。
どう選ぶ?
注意したい点は、認可の下りている生成装置で作られたかどうかを消費者は簡単に判断できない、というところです。
販売されている水溶液の説明書などをよく読み、表記の数値が前述の数値に沿っているか、確認をしてみましょう。
詳細な表記がないもの、次亜塩素酸水と表記されていない商品は、次亜塩素酸水に似た水溶液かもしれません。
もしくは既定の生成方法とは違う方法で作られている場合もあります。
化学に長けた方ならお分かりになると思いますが、複数の物質を化学反応させて一つの物質を生成する方法は、一つではありません。
⇒例えば、次亜塩素酸水 ジアニスト こちらも正式には電解次亜水と分類されるものです(ただ、効果効能はほぼ同じ)
他の殺菌料
ちなみに、食品添加物に指定されている次亜塩素酸水以外の殺菌料、および現在日本で使用している食品を以下簡単に列挙してみました。
参照:Wikipedia
亜塩素酸ナトリウム:果物、数の子、野菜、卵など
過酸化水素:数の子
さらし粉:食品の種類に制限なし
次亜塩素酸ナトリウム:ゴマ以外の食品
オゾン水:食品の種類に制限なし
次亜塩素酸水とよく混同されるのが、次亜塩素酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)です。
いわゆる「塩素系漂白剤」の「ハイター」や「ミルトン」のことなのですが、もちろん前述の通り次亜塩素酸ナトリウムも食品添加物の一種であり殺菌効果は優れています。歯科医師さんのHPでも違いが明記されてます。
保育所などの子供たちが集まる施設、高齢者施設、一般家庭でも特にノロウイルスの除去にはメインで使用されていますよね。
ただ、次亜塩素酸水とは全く異なる水溶液であるということだけは覚えておいてください。
もう一つ似た名前で「殺菌剤」として、次亜塩素酸カルシウムがあります。
プールに入れる塩素が代表的ですね。
消石灰(水酸化カルシウム)に塩素を吸収させて製造された漂白剤でして、別名『さらし粉』、『カルキ』、『塩化石灰』とも呼ばれています。
水に溶けるが、個体だと湿気にくく長期保存ができるため、固形物で流通しています。
似ていること、食品添加物の規格の枠に入っていない事、それ自体は全く悪いわけではなく、消費者が認識したうえで、そのメーカーの説明書に沿った使い方を守ることが一番大切です。
商品名は様々ですので、パッと見で次亜塩素酸水か否かを判断することは難しいでしょう。
商品だけを見る、ネットであれば商品のレビューを鵜呑みにする、ではなく、それらを参考にメーカーのサイトを自らチェックしたり、一度購入してみて付属の説明書をよく読むなど、信頼のおけるメーカーを見つけ、対価に見合った商品に出会ってください。
(このサイトではメジャーな商品の紹介を・・・)
一番使い勝手の良い次亜塩素酸水
次亜塩素酸水は、他の殺菌料と比べてpHが非常に低く(酸性)、最もポピュラーなものとして知られているのは、前述のpH5.0-6.5の微酸性次亜塩素酸水でしょう。
この水溶液は、塩素を10-80ppmも含んでいるのが特徴です。
通常の水のように飲水には使いませんが、一般家庭でも物や食品の殺菌などに使うことが可能な、扱いやすい殺菌料です。
実際の次亜塩素酸水の使い方
次亜塩素酸水は、塩素を含む殺菌力に優れた液体です。このため、通常は原液を買ってきて、これを希釈して使います。
200ppmほどの次亜塩素酸水を基にして、おおよそ通常使われる20ppmほどに4倍希釈することで、手洗いやスプレーとして使用することができます。
市販のものでよいのでスプレーボトルを購入し、これに希釈した駅を入れておくことで使用することができます。
希釈した水は、保存方法にもよりますが、しっかりと密封されている状態であれば1ヶ月は効能が続くため、ボトルがなくなるまで使い切ることが出来るでしょう。
一度吹きかけると、次亜塩素酸水は空気中ですぐに分解してしまうため、そこまで長時間の効果はありませんが、継続的に使うことにより、少なくとも外から帰ってきた後の消毒や、室内のウイルスや細菌を防ぐには非常に効果があります。
※メーカーによって手や皮膚への噴霧を推奨している商品もありますので、用法を守った使い方をしましょう。
次亜塩素酸水はウイルスにも効果的
アルコール系も含め、多くの「殺菌料」、「殺菌剤」、「消毒剤」、「除菌消臭剤」と名の付いた一般的な殺菌剤では、その主成分次第で除去できない細菌、真菌、そしてウイルスが存在するのをご存知でしょうか?
なかでも、次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムはオールマイティーに使える殺菌剤です。
次亜塩素酸ナトリウムはノロウイルス除去で大活躍の通り、アルコール系では退治できないウイルスにも有効です。
次亜塩素酸水が次亜塩素酸ナトリウムよりも優れているポイントは?
次亜塩素酸ナトリウムの効力をもってしても、その除去に5分以上かかる菌に対し、次亜塩素酸水は数十秒から1分ほどで撃退していることが分かっているのです。
「殺菌、殺菌って、、、今度は菌やウイルスに耐性がついてくるんじゃない?」
確かに!特にアルコール系の殺菌では耐性菌を生み出してしまうのも事実です。
しかし、これもまた次亜塩素酸水(他にもオゾン水や二酸化炭素)は菌を酸化して分解するため、耐性菌を生み出さないという性質をもった優れものですなのです。
かつ、オゾン水や二酸化炭素の場合、生成における環境問題や人体への毒性の疑念が残っていることを考えると、この次亜塩素酸水とは今だかつてない優等生といえるでしょう。
参考:ヴィータ株式会社
次亜塩素酸水の弱点はないの?
ただどんなに優れていても、100点満点は存在しません。
次亜塩素酸水は有機物(細菌やウイルス)への反応が早い分、すぐに分解されてしまいます。
※amazonへリンク 商品紹介
殺菌したい場所が汚物で埋まっている場合は、まず汚物を取り除く必要があります。
ある程度洗浄した後に最後の消毒の意味で吹きかけます。
また、同様に、反応が早い分、長期保存にも向いていません。
未開封であっても半年から1年となっている場合がほとんどです。
各メーカーの説明書の通りの保存方法を守り、日常使いをするのが一番適した使い方です。
備蓄の際は、次亜塩素酸ナトリウムなど他の殺菌剤を検討しましょう。
いずれにしても次亜塩素酸水の存在は、私たちにとって非常に有益であり、普段の手洗いや石鹸、アルコール消毒で除去できないウイルスを、スプレーでの噴霧によって不活化できるという利点を持ちます。
このため、キッチンのシンクをはじめ台所用品などを次亜塩素酸水で消毒することで、ノロウイルスなどの食中毒が予防できますね。
まとめ
次亜塩素酸水とは聞きなれない言葉ですが、実際にはかなり有益であることがご理解いただけたでしょうか。
興味のある人、会社に導入したいという人は、次亜塩素酸水の生成器も含めて検討してみてはいかがでしょうか。